コラム

ネットリテラシーとは?企業が炎上リスクを回避するための対策を解説

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スマートフォンの普及により、TwitterやInstagram、TikTokなどのソーシャルメディアを通じて、企業も個人も手軽に情報を発信できるようになりました。その一方で、不適切な投稿が原因で批判が殺到する「炎上」などのトラブルも後を絶ちません。

企業にとって「信頼」は最も重要な資産の一つ。炎上によって信用が損なわれることは、ブランドの価値を下げ、事業の存続にも深刻な影響を与える可能性があります。そのため、企業としてはこうしたリスクを未然に防ぐ対策が不可欠です。

また、PCやUSBメモリなどのITデバイスが高性能・大容量化する中で、重要なデータの紛失や情報漏洩のリスクも増しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、情報資産やIT機器の適切な管理は、企業の存続に直結する重要な課題となっています。

こうした炎上や情報漏洩といったトラブルを防ぐために求められるのが「ネットリテラシー」です。今回は、企業が知っておくべきネットリテラシーの基本と、具体的な対策について解説します。

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「ネットリテラシー」とは?

ネットリテラシーとは、「インターネットを適切に活用する能力」を指します。

この「リテラシー(literacy)」という言葉はもともと「読み書きの能力」を意味し、ビジネスにおいては「情報を正しく理解し、適切に解釈・活用するスキル」として使われることが一般的です。

ネットリテラシーと一口に言っても、その範囲は非常に広く、企業の情報発信やブランド管理、さらには未成年が安全にインターネットを利用するための教育など、多岐にわたります。

本記事では、特に企業や従業員が意識すべきネットリテラシーについて解説し、炎上リスクの回避や情報管理の重要性に焦点を当てていきます。

個人の炎上が企業に及ぼす深刻な影響

現在、インターネット、特にソーシャルメディアでは「炎上」が日常的に発生し、もはや珍しいものではなくなっています。その影響は個人にとどまらず、企業にも甚大なダメージをもたらすことがあります。

例えば、過去にはコンビニエンスストアのアルバイト店員が冷凍食品用のショーケースに入って撮影した写真をSNSに投稿し、大きな問題となりました。このような「バイトテロ」と呼ばれる行為は、社会的な批判を集め、最終的に該当店舗が閉店に追い込まれる事態に発展しました。

また、著名人が銀行や小売店を訪れた際、店員がその人物の来店情報や購入品を無断で撮影・投稿し、プライバシー侵害として炎上した事例もあります。これは単なる失態ではなく、個人情報保護の観点から見ても決して許されるものではありません。

さらに、企業公式アカウントの運用ミスによる炎上も発生しています。広報担当者が自身のプライベートアカウントと企業アカウントを誤って使い、企業アカウントから不適切な投稿をしてしまうケースがありました。このようなミスは、一瞬の不注意から企業ブランドの信用を大きく損なうことにつながります。

加えて、ネット上に公開された情報は完全に削除することが極めて困難です。「デジタル・タトゥー」とも呼ばれるこの現象は、投稿者の意図に関わらず、半永久的に残り続けるだけでなく、拡散するリスクも伴います。

企業が策定すべき2つのガイドライン

炎上が発生する主な要因は、ユーザーによる不用意で非常識な情報発信、すなわち「ネットリテラシーの不足」です。企業や団体として、どのようにすればこのリスクを回避し、適切なネットリテラシーを備えられるのでしょうか?

中には、「SNSを利用するからトラブルが起きる。だから、うちはSNSを一切やらない!」といった極端な対策を取る組織もあります。しかし、SNSが現代の社会インフラとして定着しつつある今、その選択は決して賢明とは言えません。SNSを利用する多くのユーザーにとって、SNS上に存在しない企業や団体は「世の中に存在しない」も同然と見なされてしまうからです。

では、リスクを回避しながら、ネットやSNSを有効に活用し、企業の信頼を守るためにはどうすればよいのでしょうか? その答えは、明確なルールを定め、適切な運用を徹底することにあります。

この章では、企業が策定すべき 2つのガイドライン について詳しく解説していきます。

SNS利用時の指針「ソーシャルメディアガイドライン」

ソーシャルメディアガイドラインとは、広義には「インターネットを利用するすべての人が守るべき指針やルール」を指します。特に企業や団体においては、SNSの利用に伴うリスクを最小限に抑え、適切な情報発信を行うための基準として策定されるものです。

2010年代以降、多くの企業や団体がこのガイドラインを導入し、自社のネット上での振る舞いに関する指針を定めるようになりました。特に、炎上リスクの管理やブランド価値の保護を目的として、大手企業を中心に策定が進んでいます。

具体的な例として、日清製粉グループのソーシャルメディアガイドラインを紹介します。同社では、従業員がSNSを利用する際の注意点や、企業アカウントの適切な運用方法について明確なルールを定めています。こうしたガイドラインは、企業の信用を守りつつ、従業員が安心してソーシャルメディアを活用できる環境を作るために重要な役割を果たしています。

ソーシャルメディアガイドライン(日清製粉グループ)

もうひとつの例として、ガイドラインの例として、日本赤十字社のソーシャルメディアガイドラインを紹介します。

ソーシャルメディアガイドライン(日本赤十字社)

PDF全5ページにわたる詳細な内容が記載されています。

特に私的利用に関しても、「就業時間中の使用を避けること」といった具体的な遵守事項が明示されており、守るべきルールが明確に定められています。

情報の取扱い指針「情報セキュリティポリシー」

情報セキュリティポリシーとは、企業や団体が策定する「自社が保有する情報の管理方針を定めた指針」です。

ITと企業活動が密接に結びついた現代において、このポリシーの策定はすべての企業にとって欠かせないものとなっています。

しかし、必要性を理解していても、担当者が具体的なルールを決める際にイメージしづらいこともあります。そのような場合には、総務省が公開している資料を参考にするとよいでしょう。

情報セキュリティポリシーの導入と運用(国民のためのサイバーセキュリティサイト)

ここでは、攻撃を未然に防ぐ対策だけでなく、万が一侵害された際の対応策の重要性や、一度策定すれば終わりではなく、定期的な見直しが必要であることなど、具体的なポイントが示されています。

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炎上を防ぐためには、何よりも「適切な教育」が不可欠

炎上を防ぐためには、ガイドラインの策定だけでなく、社員への「教育」も欠かせません。

「そんなの言われなくても分かる」と考える人もいるかもしれませんが、セキュリティの常識は日々変化しており、過去の知識が通用しなくなることも少なくありません。

すべての関係者が「自分ごと」としてポリシーを理解し、学び続ける環境を整えることが重要です。

また、業種によっては、私的なSNS利用や業務に関する情報発信について、明確なルールを定める必要があります。

特に、雇用期間が短いアルバイトスタッフを採用する場合、時間と手間がかかってもネットリテラシー教育を実施することが求められます。

これは「バイトテロ」を未然に防ぐための、必要な投資といえるでしょう。

まとめ

「ネットリテラシー」とは、「インターネットを適切に活用し、正しく使いこなす能力」を指します。

企業にとって望ましくないトラブルを回避するためには、ネットリテラシーの向上が欠かせません。

そのためにも、以下のような対策を実施しましょう。

  • 社内で明確なルールやガイドラインを策定し、関係者全員に徹底周知する
  • ネットリテラシーに関する教育を継続的に実施する

個人の不適切な発信が、企業に深刻な損害をもたらすケースも少なくありません。

あらかじめ炎上リスクを想定し、防止策を講じることが不可欠です。

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